介護現場でできるセラピー

介護現場で働いていて、何となく抑うつそうな利用者や、意欲がなく認知機能が以前よりも低下している利用者を担当することがあるかもしれません。高齢者にとって、心のケアは非常に大切です。メンタルヘルスの不調が、さらなる身体能力や認知機能の低下に結びついてしまわないように、精神的にいたわることが大切です。

レクリエーションの時間を設けている介護施設が多い中で、レクリエーションの一環としてセラピーを実施している介護現場もあります。セラピーと聞くと何やら難しそうで専門的な知識が必要な印象を受けます。しかしながら、難しいことはなく、できることから始めれば良いのです。例えば、「回想療法」と呼ばれるセラピーがあります。これは、入居者の昔の思い出に寄り添うセラピーです。その人の昔の写真や、かつて使っていた日用品を見ることで、かつての懐かしい思い出に浸ります。音楽が好きな方であれば、昔の流行歌や過去に好きだった曲を聴くのも良いでしょう。

高齢者は思い出を回想することで、安心感を得ることができます。さらに同世代の利用者がいれば、みんなで当時の思い出を話すと良いでしょう。同じ時代に生きた人と共に過ごすことで、連帯感を抱き、孤独感が和らぐはずです。さらに、共通の話題で話をすることで、自分の話を皆に聞いてもらい、受け入れられたという安らぎにも直結します。認知機能が低下して新しいことを覚えられない方であっても、よく覚えている昔のことであれば脳に刺激が与えられます。このようにできることからセラピーを始めてみることをおすすめします。