なぜセラピーが大切なのか

介護現場では、利用者の心のケアを目的としたレクリエーションやセラピー、メンタルヘルスに留意した声掛けやコミュニケーションが行われています。犬と高齢者が触れ合うアニマルセラピーの映像を見たことがある人もいるかもしれません。

では、なぜ介護現場でセラピーが重視されているのでしょうか。その理由は、介護施設にいる高齢者は、精神的な不調に陥りやすいからです。例えば、80代や90代の利用者の場合、妻や夫と死別したり、子どもや孫と離れて暮らしているケースが少なくありません。そのような環境の中で、孤独を感じてしまう人がいることは事実です。また、仕事一筋で人生を送ってきた利用者にとっては、職場をリタイアし、役職も地位もなく、介護が必要なことや自立した生活を送ることができていないことで、自尊心が傷ついている可能性もあります。家事や子育てをしていた高齢者にとっては、家庭に関わることができなくなってしまったことへの喪失感や、家庭での役割が果たせなくなってしまったことへの寂しさがあるかもしれません。

入居型の介護施設の場合は、新しい環境に不安を覚えている高齢者も少なくありません。知らない人が多い不慣れな環境で、ストレスを感じている可能性もあります。さらに、介護が必要な状態ということは、身体機能や認知機能が低下していることが大半です。身体の痛みや薬の副作用で、自発的に活動することが難しくなっている人もいます。それだけではなく、金銭的な不安を抱く人もいるでしょう。このような高齢者の心の負担を少しでも軽くするために、介護の現場ではセラピーが必要とされています。※セラピーについてさらに理解を深めたい人はこちら